鹿児島フリーライターのブログ

横田ちえのブログです。

雲月農園のはなし。

鹿児島県姶良郡湧水町にある「雲月農園」のパンフレット制作で、執筆と一部撮影を担当いたしました。関係者の許可を得てその記事をこちらのブログにアップします。

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雲月農園のはなし。

「田んぼも畑も毎日やることだらけです。でも、身体を動かして食べ物を作る生活は何ものにも代えがたい充実感があります。作ったものをおいしいと喜んでくれる人がいるのも嬉しいですね」

ここは栗野岳の麓にある雲月農園。私が訪れたのは秋の終わりで、稲刈りと掛け干しの大仕事を終えた竹野さんご夫婦が迎えてくれました。


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衣料品チェーン店で働いていた功さん。仕事のやりがいを感じながらも「新しい服をどんどん作り、消費し続けてもらわないとないと成り立たない仕組み」に対する違和感を抱くようになったそう。一方愛さんは加工食品メーカー勤務、子育てを経験し食への関心が高まっていました。

「今の社会は私たちが便利に暮らすために限りある資源や自然を消費し続けています。それは、一度使ってしまったらすぐ元には戻りません。成長・拡大・消費し続ける生活ではなく、土地に根ざして身の丈に合った暮らしがしたいと考えるようになりました」と功さん。


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食べ物を自分たちで作り、自然の中で子育てできる環境、それらを考えてたどり着いた答えが田舎暮らしと農業でした。縁あって湧水町に土地が見つかり移住。無農薬・有機栽培で米と野菜を作り始めました。これが雲月農園のはじまりです。

湧水町に住んでまず感動したのは、水も野草も豊かな土地だということ。
「私はコンクリートだらけの大阪都心で育ちました。母が空き地に生えた土筆を採って料理してくれたことをよく覚えています。それはとても貴重な恵みでした。それが、湧水町ではいろんな野草がたくさん生えています。水もおいしい。まるで宝の山だと思いました」と目を輝かせる愛さん。


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とはいえ、はじめての農業は戸惑うことも多かったのだとか。
「本に書かれていない作業が膨大にありました。知識だけで実践しようとしてたくさん失敗しましたね。それでも、やっと実った稲穂が金色に輝く様子を見ると、とても満たされた感じがします」と嬉しそうに話す功さん。


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雲月農園を始めてからは、毎日が発見の連続です。
「つくづく自然には生かされていると感じます。うまく共存していけるような暮らし方を積み重ねていきたいです。小さな農園なので作物や農産加工品もたくさんは作れませんが、共感してくれた人に気に入ってもらえたら嬉しいです」


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雲月農園という名前は、禅の「耕雲種月(こううんしゅげつ)」という言葉から。高い目標を掲げて日々こつこつ努力をするという意味にちなんでいます。この名前には竹野さんご夫婦らしい生き方が現れていると感じました。水も空気も澄んで心地よい湧水町、竹野さんご夫婦のまっすぐな考え方に清涼感を与えてもらった一日でした。


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取材・執筆 横田ちえ



後記:田園風景の向こうにそびえる栗野岳雄大湧水町。畑や湧き水へ案内していただき楽しい取材でした。竹野さんが作る漬物がとてもおいしかったです。竹野さんの農産物や加工品は「霧島ふもとの道の駅」でも販売されているので、霧島観光の際はぜひ立ち寄ってみてください。

竹野さんのブログはこちら↓
kumotuki.chesuto.jp