鹿児島県姶良市平松の住宅街にある重富温泉は、瓦屋根の重厚感が印象的な外観です。元々は畑から湧き出した温泉で、今から70年くらい昔には「畑の湯」と呼ばれていたのだとか。
ちょこちょこリフォームされながら施設はきれいに保たれ、現在は4代目の方がオーナーを務めています。毎日営業終了後、浴槽の栓を抜き、全部きれいに清掃されています。掃除が行き届いたとても気持ちのいい場所です。
のれんをくぐって店内に入ると、広々とした共有スペースがあります。ここで湯上りに水を飲んだり、テレビを見たり。毎日通う常連さんも多く、地域の人憩いの場となっています。
入浴料は大人(12才以上)420円、6歳~12歳未満150円、6歳未満80円です。11枚綴りの回数券は4,200円で一回分お得です。番台の横には牛乳石鹸や格安で買えるミニシャンプー・リンス、タオルなどがずらり。これぞ銭湯といった品揃えですね。
重富温泉の魅力は、お風呂のバリエーションが豊富なこと。内湯と電気風呂、露天風呂、サウナ、水風呂まである充実した施設で、ゆっくりお風呂に入りに来ている方がたくさんいらっしゃいます。
露天風呂からは鹿児島の山々を望み、日中の天気のいい日に外に出ると開放感あふれる景色が広がっています。外からは見えないようにしっかり目隠しがされています。湯量豊富で1分間当たり95Lもの湧出量。もちろん源泉かけ流しです。
泉質はナトリウム塩化物泉。温泉1L中に含まれるナトリウムイオンは1550mgと塩分が濃く、入浴後は体がぽかぽかに温まると評判。さらにこれだけ塩分濃度が高いのにべたつかずさらっとした浴後感が魅力です。保湿効果もあるので乾燥しがちな冬には特にうれしい泉質です。私は冬に行くのが好きです。仕事が終わった後、ここでしっかり温まって家に帰ります。
家族湯もあります! お湯はお客さんごとの完全入れ替え制なので、新鮮そのものの源泉を堪能できます。
さらにここの名物は塩。受付で販売されているここならではの名物です。重富温泉の源泉で作られた塩は、塩辛さの奥に甘みや旨味を感じられます。「富の塩」の名前で販売中。100g500円。
オーナーさん夫婦が塩づくりを思い付いたのは、2009年のこと。他の地域の塩化物泉を活用して塩づくりをしている新聞記事を読み、「うちの温泉でも作れるかも!?」と思ったのがきっかけだそう。
それから試行錯誤の日々が始まりました。海水の塩分濃度は3%なのに対し、重富温泉の温泉水は1%。煮詰めて塩にするのも一苦労です。一日4~5時間、一週間くらいかけて源泉を炊く作業は続きます。その間、時々源泉を継ぎ足しながら。
そうして最終的に、約600Lの温泉水からわずか3キロ程度の塩がとれます。
100g500円で販売されています。以前姶良・伊佐地域特産品コンクールでも入賞を果たし、じわじわと人気になりました。料理の味をぐんと引き上げてくれるので、ぜひ試してみてください。味見してみるとおいしさがよくわかりますよ!
本当にくつろげる場です。オーナー夫婦の気持ちの通った空間でした。